家づくりの資金計画は、一生涯にわたる家計を豊かにするチャンスです。
一生で一番大きな買い物ですから、家づくりの資金調達は将来の家計はもちろん、生活設計にも大きく関わることなので慎重に取り組まなければなりません。
上手に資金計画をすれば長期にわたり家計に余裕ができますし、無理な資金計画をすれば、旅行も外食も教育費もガマンばかりの人生になってしまいます。
ポイントは「建築費が高いか安いか」というような今だけのお金の動きに焦点を合わせないことです。
一生涯にわたって、理想的と思えるくらしをご家族みんなで考えて、それを実現するために何を優先してお金を使うべきかを決めるために資金計画をしてください。ライフサイクルコストをしっかりと見ながら計画を立てることが家づくりではもっとも重要なことです。
当社では、ご家族の価値観を優先したお金の使い方を考えながら、建築費、住宅ローン、お子様の教育資金、車の買い替え、保険料の見直し、補助金、税制優遇、光熱費、建物維持費、老後の資金など長期的な家計をしっかりと見つめて、不確定な未来とはいえ、お客様自身で見通しの明るい人生設計ができるように、ライフプランシミュレーションをさせていただきます。
両親や祖父母の土地が活用できればベストですが、そのような方は少ないかもしれません。
土地探しから始められる方が大半だといえますが、どのような手順で土地探しを始めればよいのでしょうか。
私たちは、建築計画の後に土地探しと土地の購入予算を決めることをおすすめしています。
それは、土地に住むのではなく、家に住むからです。できればご自分の理想の家を計画し、その家が建てられる土地を探すのが本来の家づくりだと思っています。
まずは土地探しから始めて、残りの予算で家を計画する。そのようなプロセスを踏んだ方々は、「こんなはずじゃなかった」と後悔されている方が思った以上に多いのです。
もちろん、駅近のスーパーなどの商業施設に近いところなど利便性を最優先される方もいらっしゃると思いますが、それ以上にご自分のライフスタイルを大事にしたい、お子様の生活環境の良さを優先したいという方は、まずは建築計画を立てるという取り組みから始めましょう。
建物の資金計画として優先的にお金をかけた方がよい部分は、建物の「構造躯体(こうぞうくたい)」です。構造躯体とは建物を支える骨格のことです。
主に、耐久性、耐震性、気密断熱性を重要視してください。なぜならこれら構造躯体は、建築後に良くすることは非常に困難な部分だからです。
構造躯体さえしっかりしていれば、間取りや設備はリフォームによってより良く変えていくことができます。
40年程度でボロボロになってしまう建物と100年もつ家とでは、同じ費用で建てた家でも、倍以上の価格差がでているということを考慮してください。
ポイントは、木造建築であっても構造計算され、技術審査に適合した耐震等級3の耐震構造にプラスして制震技術を取り入れたものであること。耐震等級3相当などというあいまいな基準ではなく、熊本地震などの大きな地震の繰り返しの揺れにも耐えられる構造躯体であることが重要です。
そして設計する上で、雨漏りへの対策や内部結露防止などの維持管理計画が十分できている建築会社や工務店を選ぶことです。長期的にはもっとも資金計画に影響するところですので、しっかりと確認することが重要です。
住宅ローンには、数々の種類があります。
大きく分けると全期間固定金利のものと変動金利のものがあることはご存じだと思います。全てを全期間固定に、または全てを変動金利に、あるいは固定と変動のミックスにすることも選択肢として考えられます。
固定金利、変動金利のどちらにもメリット・デメリットがありますが、結局どれを選択するかは、今後の経済の見通しはもとより、現在の収入や生活費の状況、将来的なお子様の教育費の関係などから、かなり難しい判断をしなければなりません。
弊社では判断材料のひとつとしてライフプランシミュレーションの活用をおすすめしています。全期間固定の場合と変動金利の場合、またはミックスした場合をシミュレートし、遠い将来まで見据えた計画をすることで、見えてくるものがあります。
また、建物の資金計画でもお伝えしたとおり構造躯体が長持ちする構造であることや、メンテナンスのしやすさ、光熱費、健康寿命の延伸などの複合的な恩恵は、長期的にみると家計にとってかなり有利になる要因だといえます。
どんなに構造躯体が丈夫な建物でも、メンテナンスは必要です。手入れをしない建物は傷みが早まる傾向があります。
特に屋根や外壁、バルコニー防水などの雨や紫外線の影響を受ける外部は、なにも手入れをしないと美観的にもあまりよくありませんし、外壁の目地の劣化や壁の細かなひび割れに気づかずにいると、構造躯体の劣化につながる場合があります。
そこで住まいのメンテナンス計画が非常に重要になってきます。
長期優良住宅はお引き渡し後のメンテナンス計画まで立案し、維持管理しやすい住まいになるよう設計されますので、この点でメリットは大きいです。
メンテナンスの項目としては以下のものが挙げられます。
1)外装に関わる部分
仕上材の材質にもよりますが、屋根の塗装、瓦のずれや棟しっくいの劣化、樋の吊金物の修正や交換、外壁の塗装、サイディング目地や窓廻りのシーリング、バルコニー防水のトップコートの塗替えなど。
2)内装に関わる部分
室内においては風呂や洗面化粧台、トイレ、キッチンなど水回りの更新や壁紙などの内装材の貼り換え、照明器具などの交換など。
さらに、床下の防腐処理やシロアリ消毒などが挙げられます。
メンテナンスの時期は短いもので10年、長いものでも15年から遅くとも20年ということになります。
マンションを購入された方は、管理組合から強制的に修繕積立金が徴収されますので、毎月の支払いはきついですが、修繕の際に一度に大きな出費が発生することはないので比較的安心です。
戸建て住宅を購入の方も、メンテナンス費用として毎月の積立金を捻出することが難しい現状ではありますが、コツコツと計画的に貯蓄するというのが理想的ではあります。 現在は低金利が続いているので、住宅取得控除(ローン控除)も家計にとって有利に働きます。年末調整で戻ってきたお金を修繕の積み立てにまわすことを実践してみてください。10年後には大きな修繕積立の資金になります。
戸建て住宅は、突発的な破損で修繕が必要になる場合を除き、期限の限度はあるものの修繕時期をある程度コントロールすることができます。少し気になるところがあったら日ごろからお付き合いしている工務店に点検や修繕をしてもらうとよいでしょう。それほど大きな費用がかからない点検や修繕をこまめにすることで、大きな修繕を少し余裕ができるまで伸ばすことも可能でしょう。
またもうひとつ、時期をコントロールする余裕を持つために、メンテナンスが長期間不要な屋根材や外壁材をチョイスすることをおすすめしています。建築時の費用はかかるものの、生涯住居費(生涯にわたる住宅関連の費用※1)でみると安上がりになることが多いのも事実です。
※1 住宅建設費用+ローン金利+水道光熱費+税金+修繕費+医療費などを合算したもの。医療費を生涯住居費に入れているのは、冬暖かい住宅に住むと健康状態があがるため(神戸大学建築学部学部長岩前教授の研究結果より)
ライフサイクルにおけるメンテナンスのタイミングの問題もあります。例えば、お子様の学費などが重なってなかなか積み立てが難しい方もいらっしゃると思います。そのような場合には住宅ローンの借り換えを利用してリフォーム資金を捻出するという方法などもあります。返済期間が延びてしまうということがありますが、メリットは大きいです。返済金額を今までと同額にすることができますし、返済期間中は団体信用生命保険も付きますので、もしものことがあっても安心です。住宅ローンですからリフォームローンよりも金利が安いのもメリットです。
このように住まいのメンテナンスまで含めた長期的な視点で、私たちと資金計画をすることで、余裕をもった人生設計が立てられるでしょう。
最近では、低炭素社会に向けた補助金や地震や台風などの災害対策に向けた補助金が住宅向けに交付されるケースが多くなりました。
長期優良住宅や認定低炭素住宅になると金利や税金の優遇なども受けることができます。
これら国策として行なっている恩恵を十分に活用し、建物の性能を向上させ、ご家族の家計に余裕を生むことができます。
水道光熱費、医療費、家電、家具など、住み続けていると必ずかかる費用があります。
特に水道光熱費は大きな出費ですので、ライフサイクルコストが上がらない家づくりが必要です。
節水水栓で水道代を制約する。
高気密高断熱住宅で冷暖房の光熱費を節約する。
温度差の無い家を造ることで疾病リスクから身体を守る
一生ものの造作家具で家具購入を不要にする
上記のような家づくりをすることで、必ずかかるライフサイクルコストを抑えることができます。特に光熱費と医療費に関する家計への影響力は絶大です。
建築費や住宅ローンのことだけで無く、一生涯にわたる家計を豊かにする理想的なくらしを実現するためには、長期的なライフサイクルコストなども視野に入れ、建物構造を妥協せず、補助金や金利優遇などを賢く活用して、上手に資金計画をすることが大切だとおわかりいただけたと思います。
家づくりに取り組むということは、最高の人生設計をするための絶好の機会です。
ここで長期的な視野を持ち、上手な資金計画をするか、目先の問題解決のために安易な資金計画をしてしまうかでは、人生の豊かさに大きな差が生まれるでしょう。
まずは、資金計画のご相談からお声がけ下さい。